• 黒字なのに資金が残らない理由

    2026年1月25日

    ― 損益分岐点と「2つの必達売上」の考え方 ―

    「今月は黒字でした」

    そう聞いても、なぜか安心できない。

    資金繰りや将来の投資に不安が残る――

    こうしたご相談は、実はとても多くあります。

    その原因の多くは、損益分岐点や必達売上の捉え方にあります。

    損益分岐点=安全ライン、ではありません。なぜなら、実際の経営には

    借入金の返済

    設備投資

    将来の採用・人件費増

    税金の支払い

    といった、営業利益には直接出てこない支出が存在するからです。

    必達売上は「1つ」では足りない

    実務上、私は必達売上を2つに分けて考える必要があると考えています。

    ① 営業利益を黒字で着地させる必達売上

    これはいわば、

    「最低限、赤字を避けるためのライン」です。

    固定費

    変動費

    粗利率

    をもとに計算される、教科書的な損益分岐点ベースの必達売上です。

    この数字が見えていないと、

    値下げ判断

    受注可否

    売上目標設定

    がすべて感覚になってしまいます。

    ② 借入返済を意識した必達売上

    もう一つ、見落とされがちなのがこちらです。

    営業利益が黒字でも、毎月の借入返済元金返済によるキャッシュアウトによって、

    実際の資金は減っていくことがあります。

    そのため、「営業利益が黒字 + 借入返済をしても資金が減らない売上」

    2つ目の必達売上を見ていないと起きること

    この「借入返済を意識した必達売上」を

    把握していない場合、次のような判断ミスが起こりがちです。

    黒字なのに、なぜか資金繰りが苦しい

    設備投資や省力化を勢いで決めてしまう

    補助金を前提に進め、後から無理が出る

    採用の判断が遅れる/早すぎる

    結果として、数字は合っているのに、経営が苦しくなる状態に陥ります。

    必達売上は「目標」ではなく「下限ライン」

    ここで大切なのは、

    必達売上は「頑張って目指す数字」ではなく、

    下回ってはいけない基準線だということです。

    このラインが明確になることで、

    今月の受注判断

    投資をしてよいかどうか

    補助金を使うべきタイミング

    といった意思決定が、感覚ではなく数字で行えるようになります。

    制度や施策の前に、まず数字の整理を

    補助金、省力化、採用、設備投資――

    どれも重要な打ち手ですが、

    その前提として「自社はいくら売らなければならないのか」が整理されていないと、

    どんな施策もリスクを伴います。

    数字は「管理するため」ではなく、

    経営判断に使えてはじめて意味があると考えています。

    ※ 設備投資や省力化を検討する前に、一度、数字を整理したい方はサービス内容もご覧ください。